そんな風に優しい声で言われると涙は次から次へと溢れてきてしまう。

気がつけば私は智道の胸に顔をうずめて大きな声をあげて泣いていた。

わんわん泣きじゃくる私の背中を智道が優しくさすってくれる。

こんな風に泣いたもの、なぐさめられたのも、小学生以来かもしれない。

しばらく泣き続けるとさすがに疲れてきて涙も出なくなってきた。




「……ごめんなさい」




人の彼氏の胸を借りてしまったことに罪悪感をいだきながらそっと離れる。

智道は優しい笑顔で「もう大丈夫?」と聞いてきた。

その近い距離に今更ながら恥ずかしさを感じて顔が熱くなっていく。

「だ、大丈夫です。ごめんなさい」

早口に言って智道から距離を取り、周囲を見回す。

どこに行ったのか、繭乃と尋の姿が見えない。

トイレにでも行ったのかも知れない。