「少し横になろう。さすがに疲れたよ」




ベンチの後方に敷き詰められている芝生に智道がゴロンッと横になった。

「そうだね」

私も同じように横になる。

昼間の暑さは徐々に影を潜めていき、今はちょうどいい気温だ。

柔らかな芝生で横になっていると今日1日の出来事が夢のように感じられてくる。

ジェットコースターに轢かれた男の子も、メリーゴーランドの柵に激突して死んだ女の子も、バスに引きずられた女の子も、観覧車の男の子も。

そして、助けられずに自殺したチームのことも。

オレンジ色に染まる空にはカラスが数羽飛んでいて、これから家に帰るのだろう。

途端に家族の顔が浮かんできた。

お母さん、お父さん、おばあちゃん。

そしてペットの柴犬のシロ。

みんなの顔が空の雲のように浮かんでは流れて消えていく。