繭乃の目は更に輝きを増している。

これ以上はまずい。




「そんなのダメだよ。宝石も現金も今は必要ない。とにかく寝る場所を確保できればそれでいいから」



「それなら恵利ちゃんはどこで寝る気? 寝る場所だって結局労働して確保するんでしょう? それって私が宝石を手に入れるためにすることとなにが違うの?」




早口で言われて言葉を挟む隙がない。




「それとこれとは全然違うよ。だって……」




寝る場所や食事は最低限の人として活動するために必要だ。

だけど、大金や宝石はまだ必要ない。

そう続けようとしたとき、宝石店からひとりの女の子が出てきた。

女の子は茶髪の髪の毛をくるくるに撒いていて、ポニーテールにしている。

見るからに派手系だ。

手には宝石店のマークが入った大きな紙袋を持っていて、店内からはクマの面をかぶった女性店員が「ありがとうございました」と、出てきてお辞儀をしている。