「こんなもの、今手に入れても意味ないだろ」




智道はそう言うが、繭乃はその場から動こうとしない。




「だけど今なら手にいれることができるんだよ。外に出たら一生無理かもしれない」



「今なら手に入れられるってどういうことだよ?」




智道の質問に繭乃は返事をしなかった。

チーム内でゲームをして、負けた人間を犠牲にして宝石を手に入れる。

そう考えているんだろう。




「この大きなダイヤが無理でも、10万円くらいのでいいの」




繭乃の声が懇願するように変わる。

本気で今ダイヤモンドがほしいと思っているんだろうか。

信じられなくて何度もまばたきをする。




「10万円のダイヤモドならさ、普通のの労働で手に入ると思わない? クレープを食べたり、自販機で飲み物を買ったときと同じだよ?」