「ショップ?」




繭乃の言葉に答えたのは尋だ。

繭乃はひとつ頷いて遊園地の地図を開く。

どんなことがあっても、繭乃はこれを大切に持っているようだ。

広げた地図の一角を指差すと、そこにはジュエリーやブランドのチョップが並ぶ通りだった。




「そんなの見たって腹の足しにもならないだろ」




智道が呆れたように言う。

繭乃はムッとしたように智道を睨みつけた。




「ジュエリーやブランドは女の子の夢なのに。ねぇ? 恵利ちゃん?」




突然名前を呼ばれて咄嗟には返事ができなかった。

繭乃の言うようにジュエリーやブランドには興味がある。

大人になったら身につけてみたいブランドだってあった。

だけど今はそんなこと少しも考えられない状況だ。

黙っていることで否定されたと感じたのか、繭乃は触れ腐れた顔になって立ち上がる。