智道が答える。




「働いて生活しながらお金も貯める」



「一千万円をか? 何十年かかるかわからないぞ」




その言葉に繭乃は軽く肩をすくめる。

外で働いている人たちだって何十件もかけてお金を貯めている。

中には何十年かかっても一千万円というお金を貯めることができない人だっているだろう。

それくらい難しい金額だ。




「私さ、行ってみたいショップがあるんだよね」




急に話の内容が変わって私はようやく顔を上げた。

気がつけば太陽は傾き始めていて、園内はもうすぐオレンジ色に包まれるだろう。

風が吹くと心地よく汗が乾いていく。

でも、そうなるとまた問題が浮上してくる。

今日どこで眠るかだ。

ホテルで眠れば必ず労働がついてくる。

それは遊園地側の思惑通りということだ。