☆☆☆
「結局、選択肢はふたつしかないよ」
木陰に座り込んでいたとき、繭乃が誰にともなく言った。
「一千万円を手にして外に出るか、それともこの園内で仕事をして暮らし続けるか」
その言葉には誰も返事をしなかった。
もう心身ともに疲れ果てていて、とにかく休みたい。
私は膝を抱えてうなだれたまま顔を上げることもできないでいた。
「意外とさ、悪くないかもしれないよね」
繭乃はまだひとりで話続ける。
誰でもいいから、自分の考えを伝えたいのかも知れない。
「学校行って勉強するよりも、ここで働いた方が将来的な勉強にもなるしね」
「ここで働いても外には出られない」
「結局、選択肢はふたつしかないよ」
木陰に座り込んでいたとき、繭乃が誰にともなく言った。
「一千万円を手にして外に出るか、それともこの園内で仕事をして暮らし続けるか」
その言葉には誰も返事をしなかった。
もう心身ともに疲れ果てていて、とにかく休みたい。
私は膝を抱えてうなだれたまま顔を上げることもできないでいた。
「意外とさ、悪くないかもしれないよね」
繭乃はまだひとりで話続ける。
誰でもいいから、自分の考えを伝えたいのかも知れない。
「学校行って勉強するよりも、ここで働いた方が将来的な勉強にもなるしね」
「ここで働いても外には出られない」