「手首を切ってる!」




よくれば近くに血のついたカッターナイフが転がっているし、他の3人のジャージにも黒っぽいシミができている。




「だめだ。死んでる」




智道が女の子の首に指を当てて脈を確認し、そして左右に首を振った。




「嘘でしょ、なんで!?」




大橋くんは積極的に脱出しようと試みていたし、行動力もあった。

それなのに……!




「わからなくもないけどな」




尋が静かな声で言う。




「こんなところに連れてこられて、脱出もできない。絶望しても当然だ」