「そんなの卑怯じゃない! ゴンドラが下がってくれば助かるんじゃないの!?」



しかし尋は左右に首を振った。




「そんなこと誰も言ってないんじゃないか? どれだけ頑張ってみても、彼は死ぬんだ」




男の子の運命はチーム内でのゲームに負けたときから決まっている。

そうなのかもしれない。

不安で押しつぶされそうになりながらゴンドラへ視線を戻すと、また強い風がふいてゴンドラが左右に揺れ始めた。

上手にバランスをとっていた男の子だけれど、今度の風は簡単には吹きやまない。

ゴンドラが軋む音がここまで聞こえてくる。

そのとき、男の子が体のバランスを崩すのが見えた。

咄嗟に両手をゴンドラについて落下しないようにするが、そのままずるずると落ちていく。

他に捕まるような場所もなく、男の子の両手はついに乗っているゴンドラから離れてしまった。