過酷な現実に脳がクラクラしてきたけれど、気を失っている場合じゃない。

どうにかここから逃げ出さないと自分がいつゲームで負けるかもわからないんだ。

再び視線を観覧車へ向けると、男の子が立っているゴンドラはすでに頂上付近に差し掛かっていた。

ここまでくれば後は下るだけだ。

どうにか、無事でいて……!

そう祈ったときだった。

強い風がふいていてゴンドラが大きく揺れた。

男の子ゴンドラの上で体のバランスを崩して滑り落ちてしまいそうになる。




「危ない!」




どうすることもできないのに、声を張り上げる。

男の子はゴンドラの上に腹ばいになって必死に堪えている。

風は一度強く吹いただけで、すぐに止まったようだ。

ゴンドラの揺れは穏やかになり、ひとまず胸をなでおろす。

だけどゴンドラはまだまだ高い位置にあるから油断はできない。

ゴンドラは眩しい太陽に照らされてギラギラと光っっている。

太陽は容赦なくゴンドラも男の子も焼いていく。

やはりゴンドラにしがみついていると暑いのか、男の子は再びゴンドラの上に立ち上がろうとしている。