「あれも、ゲームで負けたから?」




繭乃が静かにうなづく。

男の子を乗せた観覧車はゆっくりゆっくりと上昇していく。

この様子も沢山の視聴者たちに見られているんだろう。

こんなものを好んで見る連中がいるということに気持ち悪さを感じた。




「早く止めないと!」




駆け出してしまいそうになるのを尋が手を掴んで止めてきた。




「今更どうにもならない。近づいたってなにもできない」



「でもっ!」




でも、人が死ぬかも知れないのを黙ってみているなんてできない。

そう続けようとしたけれど、他のチームのみんなも観覧車には近づかないようにしていることがわかって言葉を切った。




「あの子の体はもう制御されてる。だから助けることなんてできない」