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結局3人を止めることもできず、時間だけが過ぎていく。

園内を見回せば次々とゲームを開始しているチームが目立ち始めている。

脱出するためだけじゃなく、飲食にも必要なことだからだ。

チーム内でのゲームに勝手喜ぶ者。

ゲーム負けて悔しがる者。

それだけならまだいい。

中にはゲームに負けて逃げ出そうとする者もいる。

なにをかけてのゲームなのか知らないが、ろくでもないものであることは確かだ。

逃げようとしてもそれがうまくいくわけでもない。

腹部に装着された機械が体の動きを制御して、元の場所へと引き戻される。

泣きながらクマに連れて行かれる女の子もいる。

まるで地獄絵図だった。




「みんな、自分が脱出するために行動に移し始めたね」




ベンチに座っていると繭乃がそう呟いた。

繭乃の視線の先には観覧車があるが、ゴンドラの上に立っている男の子がいる。

ゴンドラの外部に捕まるところもなく、あんなところに立っていたら落ちてしまうかもしれないのに。

男の子の体はガクガクと震えていて今にも落下してしまいそうなのだ。