額に冷たい感触がして私は目を開けた。

目の前には尋の顔があって「大丈夫か?」と声をかけてくる。

冷たさを感じる額に手を当ててみると、濡らしたハンカチが当てられていた。




「うん。大丈夫」




答えてから自分はどうして横になっているんだろうかと考えた。

暑さのせいで倒れてしまったんだっけ?

思い出そうとするけれど、頭が痛くてなかなか思い出すことができない。

やっぱり熱でやられたんだろう。

尋は木陰に私を寝かせてくれたみたいで、体は少し楽になっている。

「ありがとう尋。ひとりで帰れそうだから大丈夫だよ」

心配かけまいとして言ったその言葉に違和感があって、私は周囲を見回した。

私が横になっている木陰の少し離れた場所にメリーゴーランドがあり、今はクマのお面をつけた従業員らしき人たちが片付けをしている。

地面にはまだ血がこびりついていて、それがブラシで洗い流されていく。

その光景にすべてを思い出して私は勢いよく上半身を起こした。

突然体を起こしたことで一瞬メマイを感じるけれど、気にしている場合ではない。