「開けてよ! 帰るんだから!」




と、周囲へ向けて叫んでいる。

一体どうしたのかと駆け寄ってみると、通路にシャッターが降ろされていることがわかった。

尋と智道がシャッターを開けようと手をかけるけれど、びくともしない。

しっかりと鍵がかけられているみたいだ。




「誰かいませんか!? シャッターを開けてください!」




声を張り上げてみても従業員らしき姿はどこにもない。




「ここから出してよ!」




繭乃は八つ当たりのようにシャッターを蹴っている。

が、シャッターはよほど強固なものでできているようで、傷ひとつつかない。

これじゃ外へ出ることは難しい。




「くそっ」




尋が舌打ちをしてジャージのポケットを調べ始めた。




「スマホも財布も、なにもない」




その言葉に私も同じようにジャージのズボンについているポケットを確認する。

その中は空っぽだった。




「つまり、ここから外へ出ることはできないし、外へ連絡を取ることもできないってことか」




智道の言葉に繭乃が「おまけにお金もないから遊べないし?」と、やけくそに付け加えた。

とにかくここから出られないことは理解できた。

だけど犯人の意図が理解できない。