10月のこと。
体育祭でチセと高瀬君はペアで借り物競争に出ることとなった。しかし、チセと高瀬君は自身がなかった。
チセ、高瀬君、東条朝都はいつものように、中庭で昼食を食べていた。高瀬君はきれいな金髪で、えりあしをはやしていた。青い切れ長な目をしていた。東条朝都は女性のような風貌。黒髪で、えりあしをきれいにカットしており、真ん中で髪をわけていた。
天気はよかった。秋晴れ。もう10月だけど、暑かった。
チセと高瀬君は元気がなかった。チセと高瀬君は同時にため息をついた。
「おい、二人とも、どうしたんだ」
と、東条先輩。
「体育祭で借り物競争を黒田さんとペアでやることになったんだ」
と、高瀬君。
東条先輩は咳払いした。
「ペアだと。不純異性交遊じゃないだろうな」
「違う。不純悪魔族交遊じゃない」
と、高瀬君。
「不純悪魔族交遊ってなんだよ。不純異性交遊って言ったんだ」
「違うよ」
と、チセがか細い声で言った。
「え」
と、東条先輩。
「私が足が遅くて、非社交的なもんだから、足が速くて、社交的な高瀬君とペアにされたんだ」
と、チセ。
「えええええええええ。社交的って、高瀬のやつ、いつもわけのわからんこと言って、会話にならんじゃないかあ」
と、東条先輩。
「そうなんだけど、でも陰気な私じゃあ、人が怖がって話さないって」
東条先輩は悲しい顔をした。
「そうか、悪魔族の女神、黒田さんが神々しくて、恐れ多くて、だれも口をきけないんだ」
と、高瀬君。
「何、いってんだよ。そういうとこだろ」
と、東条先輩。
「あはは」
と、高瀬君は後頭部に手をやって、笑った。
「ははは」
チセも笑った。
「はは」
と、東条先輩。
東条先輩は大きく息をはいた。
「黒田さんはともかく、高瀬、お前はわけのわからんことばっか言ってるから、心配だな」
と、東条先輩。
高瀬君は笑って、片手を後頭部にやった。
「そうなんだ」
回想。
廊下。1年C組の札が教室のドアの上にある。
教室。
教壇にチセの担任、吉田祥子先生がいる。黒いリクルートスーツ、タイトなスカート。きれいな足をしている。黒いヒールをはいている。細面、黒髪を上でお団子にしていて、眼鏡をかけている。線が細い。
黒板に体育祭の競技と人数が書かれてある。
借り物競争 2人とある。
「ううん、借り物競争、だれかいないか」
と、吉田先生。
「えー」
と、生徒。
「黒田さんがいいんじゃない」
と、橋本ここな。淡い茶髪のストレート。ポニーテール。
「賛成」
と、女子たち。女子たちはクスクス笑っている。
「おい、黒田は声小さいし、社交的じゃねえし、足もおせえし、仮もの競争なんてできないぜ」
と、黒髪短髪黒目の男子高杉シン。
「陰気な黒田じゃあ、人が怖がって話さないよなあ」
茶髪セミロングの男子が言った。
失笑が起こる。ここなが、にやっとした。
「こらこらそんなこというもんじゃないでしょ」
と、吉田先生。
「私、やります」
と、チセが手をあげて小さい声で言った。
「おお、黒田さん」
と、吉田先生は黒板の借り物競争のとこに黒田チセ、と書いた。
「借り物競争、もう一人いるね」
と、吉田先生。
「相棒の高瀬君がいいんじゃない。高瀬君なら社交的だし、足も速いし、モデルで有名人だからみんな気前よく貸してくれるんじゃない」
と、ここな。
「僕やります」
と、高瀬君が手をあげた。
「おお、高瀬君か」
と、吉田先生。吉田先生は黒板の黒田チセと書いたとこに高瀬帳と書いた。
「借り物競争は、黒田さんと高瀬君に決定え」
と、ここな。
拍手が起きた。女子はにやにやしている。
「でもさあ、高瀬、あほだから、まともにもの借りられるかなあ。足が速いって言ってもあほだから、夕日に向かって突っ走ったりするんじゃねえ」
と、シン。
「言えてる」
と、茶髪にセミロングの男子。
クラス中で嘲笑がおきる。高瀬君は悲しそうな顔をする。
「だ、大丈夫よ。いくら高瀬君があほでも借り物競争ぐらいできるわよ。」
と、ここな。
「そうかなあ」
と、シン。
「いくらなんでも夕日に向かって走るようなあほじゃないわよ。それに借り物競争なんてお遊びなんだから、この競技は捨てましょうよ。ほかの競技、がんばろう」
と、ここな。
「ん、どんな競技も全力で挑むのがわがクラスじゃないのか」
と、吉田先生。
「わあ、また馬鹿はじまったあ」
と、ここな。
「おいおい、橋本さん、バカとはなんだ」
と、吉田先生。
「そういうとこだよお」
と、ここな。
「こら」
と、吉田先生。クラス中が笑う。チセも笑った。高瀬君も笑った。
回想終了。
「じゃあ、特訓しかねえな」
と、東条先輩。
「もちろん、それって・・・」
と、高瀬君。
「もちろん、秘密の特訓だ」
「なぜならあ、そのほうがかっこいいから」
と、高瀬君と東条先輩は同時に叫んだ。高瀬君と東条先輩は片手を出し、親指をたてて、いいねのポーズをしあっている。お互いの親指をたてたこぶしが、触れ合う寸前だ。
「でも、どこでするの?」
と、高瀬君。
「そうだなあ」
と、東条先輩。
「ベリー公園がいいんじゃないか」
と、東条先輩。
「ええええええ」
と、高瀬君。
「またあの不良が来るんじゃあ」
ベリー公園は、チセと高瀬君が東条先輩に不良から助けられた公園だった。
「大丈夫。あいつらはもうあそこには来ない」
と、東条先輩。
「そうか。魔界ライダーのヘルマスターの東条先輩に恐れをなして、もう来ないんだ」
と、高瀬君。
「ま、まあな」
と、東条先輩。
「さっすが、東条先輩」
と、高瀬君。
「お前ら、今日の放課後どうだ?」
と、東条先輩。
「僕は大丈夫」
と、高瀬君。
「私も」
と、チセ。
「よし、さっそく今日から秘密の特訓だあ」
と、東条先輩。
「でも東条先輩には受験勉強が」
と、高瀬君。
「なあに気にするな。ちょうどいい気晴らしさ」
高瀬君笑顔で、
「うん」
「じゃあ、放課後、ベリー公園で待ち合わせな」
と、東条先輩。
「はい」
と、高瀬君。
「うん」
と、チセ。
体育祭でチセと高瀬君はペアで借り物競争に出ることとなった。しかし、チセと高瀬君は自身がなかった。
チセ、高瀬君、東条朝都はいつものように、中庭で昼食を食べていた。高瀬君はきれいな金髪で、えりあしをはやしていた。青い切れ長な目をしていた。東条朝都は女性のような風貌。黒髪で、えりあしをきれいにカットしており、真ん中で髪をわけていた。
天気はよかった。秋晴れ。もう10月だけど、暑かった。
チセと高瀬君は元気がなかった。チセと高瀬君は同時にため息をついた。
「おい、二人とも、どうしたんだ」
と、東条先輩。
「体育祭で借り物競争を黒田さんとペアでやることになったんだ」
と、高瀬君。
東条先輩は咳払いした。
「ペアだと。不純異性交遊じゃないだろうな」
「違う。不純悪魔族交遊じゃない」
と、高瀬君。
「不純悪魔族交遊ってなんだよ。不純異性交遊って言ったんだ」
「違うよ」
と、チセがか細い声で言った。
「え」
と、東条先輩。
「私が足が遅くて、非社交的なもんだから、足が速くて、社交的な高瀬君とペアにされたんだ」
と、チセ。
「えええええええええ。社交的って、高瀬のやつ、いつもわけのわからんこと言って、会話にならんじゃないかあ」
と、東条先輩。
「そうなんだけど、でも陰気な私じゃあ、人が怖がって話さないって」
東条先輩は悲しい顔をした。
「そうか、悪魔族の女神、黒田さんが神々しくて、恐れ多くて、だれも口をきけないんだ」
と、高瀬君。
「何、いってんだよ。そういうとこだろ」
と、東条先輩。
「あはは」
と、高瀬君は後頭部に手をやって、笑った。
「ははは」
チセも笑った。
「はは」
と、東条先輩。
東条先輩は大きく息をはいた。
「黒田さんはともかく、高瀬、お前はわけのわからんことばっか言ってるから、心配だな」
と、東条先輩。
高瀬君は笑って、片手を後頭部にやった。
「そうなんだ」
回想。
廊下。1年C組の札が教室のドアの上にある。
教室。
教壇にチセの担任、吉田祥子先生がいる。黒いリクルートスーツ、タイトなスカート。きれいな足をしている。黒いヒールをはいている。細面、黒髪を上でお団子にしていて、眼鏡をかけている。線が細い。
黒板に体育祭の競技と人数が書かれてある。
借り物競争 2人とある。
「ううん、借り物競争、だれかいないか」
と、吉田先生。
「えー」
と、生徒。
「黒田さんがいいんじゃない」
と、橋本ここな。淡い茶髪のストレート。ポニーテール。
「賛成」
と、女子たち。女子たちはクスクス笑っている。
「おい、黒田は声小さいし、社交的じゃねえし、足もおせえし、仮もの競争なんてできないぜ」
と、黒髪短髪黒目の男子高杉シン。
「陰気な黒田じゃあ、人が怖がって話さないよなあ」
茶髪セミロングの男子が言った。
失笑が起こる。ここなが、にやっとした。
「こらこらそんなこというもんじゃないでしょ」
と、吉田先生。
「私、やります」
と、チセが手をあげて小さい声で言った。
「おお、黒田さん」
と、吉田先生は黒板の借り物競争のとこに黒田チセ、と書いた。
「借り物競争、もう一人いるね」
と、吉田先生。
「相棒の高瀬君がいいんじゃない。高瀬君なら社交的だし、足も速いし、モデルで有名人だからみんな気前よく貸してくれるんじゃない」
と、ここな。
「僕やります」
と、高瀬君が手をあげた。
「おお、高瀬君か」
と、吉田先生。吉田先生は黒板の黒田チセと書いたとこに高瀬帳と書いた。
「借り物競争は、黒田さんと高瀬君に決定え」
と、ここな。
拍手が起きた。女子はにやにやしている。
「でもさあ、高瀬、あほだから、まともにもの借りられるかなあ。足が速いって言ってもあほだから、夕日に向かって突っ走ったりするんじゃねえ」
と、シン。
「言えてる」
と、茶髪にセミロングの男子。
クラス中で嘲笑がおきる。高瀬君は悲しそうな顔をする。
「だ、大丈夫よ。いくら高瀬君があほでも借り物競争ぐらいできるわよ。」
と、ここな。
「そうかなあ」
と、シン。
「いくらなんでも夕日に向かって走るようなあほじゃないわよ。それに借り物競争なんてお遊びなんだから、この競技は捨てましょうよ。ほかの競技、がんばろう」
と、ここな。
「ん、どんな競技も全力で挑むのがわがクラスじゃないのか」
と、吉田先生。
「わあ、また馬鹿はじまったあ」
と、ここな。
「おいおい、橋本さん、バカとはなんだ」
と、吉田先生。
「そういうとこだよお」
と、ここな。
「こら」
と、吉田先生。クラス中が笑う。チセも笑った。高瀬君も笑った。
回想終了。
「じゃあ、特訓しかねえな」
と、東条先輩。
「もちろん、それって・・・」
と、高瀬君。
「もちろん、秘密の特訓だ」
「なぜならあ、そのほうがかっこいいから」
と、高瀬君と東条先輩は同時に叫んだ。高瀬君と東条先輩は片手を出し、親指をたてて、いいねのポーズをしあっている。お互いの親指をたてたこぶしが、触れ合う寸前だ。
「でも、どこでするの?」
と、高瀬君。
「そうだなあ」
と、東条先輩。
「ベリー公園がいいんじゃないか」
と、東条先輩。
「ええええええ」
と、高瀬君。
「またあの不良が来るんじゃあ」
ベリー公園は、チセと高瀬君が東条先輩に不良から助けられた公園だった。
「大丈夫。あいつらはもうあそこには来ない」
と、東条先輩。
「そうか。魔界ライダーのヘルマスターの東条先輩に恐れをなして、もう来ないんだ」
と、高瀬君。
「ま、まあな」
と、東条先輩。
「さっすが、東条先輩」
と、高瀬君。
「お前ら、今日の放課後どうだ?」
と、東条先輩。
「僕は大丈夫」
と、高瀬君。
「私も」
と、チセ。
「よし、さっそく今日から秘密の特訓だあ」
と、東条先輩。
「でも東条先輩には受験勉強が」
と、高瀬君。
「なあに気にするな。ちょうどいい気晴らしさ」
高瀬君笑顔で、
「うん」
「じゃあ、放課後、ベリー公園で待ち合わせな」
と、東条先輩。
「はい」
と、高瀬君。
「うん」
と、チセ。