「え?場所取りなんてしてないです。そんないっぱいでした?」

「なんか今年混んでるらしい。」


綾羽が困った顔で振り返った。


「どうする?」

「えーでも、河原以外私知らないよ」

「俺もー」

「とりあえず行ってみる?」

「そうだな…、行くしかないか」


咄嗟の作戦会議を見守っていたシュンくんが、見かねたのか声を掛けてくれた。


「俺ら今年、展望台で見ようと思ってんだ。あの山の」


お祭り会場の近くの山。その道の途中にちょっとした展望台があることを思い出す。


「良かったら一緒に行く?誰か車で来てたらだけど」


その言葉に、私たちは目を輝かせた。


「えっ、いいんですか!行きたい!晴樹、車だよね!?」

「車!案内お願いします!!」


シュンくんとお兄ちゃんのありがたい提案に乗っかって、私たちは花火大会の見学箇所を急遽変更した。