「何それ、めっちゃ食い物持ってんじゃん」


私の動揺になんて、全く気付かず、兄は、晴樹が両手いっぱいに抱える露店の食べ物に注目していた。

自由人な兄に、今日ばかりは救われた気分。


「あ、これ花火に向けての買い出しっす。そろそろ移動しようかなって思ってたところで」

「あーそうなんだ。俺らもそうなんだよ」


兄の目線にシュンくんは爽やかに笑って、片手に下げたビニール袋を見せた。

その中には、焼きそばやたこ焼きが積まれている。


考えることは皆同じなんだな。


「そうなんすか、俺らあの河原ですけど、一緒ですか?」

「えまじ?場所取りした?河原もういっぱいだったけど」


恭弥が尋ねると分かりやすく顔を顰めたお兄ちゃん。

その言葉に、私たちは顔を見合わせた。