「サークルで来てるんですか?」

「いや、あいつらも来てるけど。別だよ。」

「あいつらといるとめんどくせーから」

「確かに野球サークルそんなイメージあるっす。元気っすよね」


共通の話題なのか、恭弥も含め4人でサークルの会話を始めるのを見守る。

仲が良いからこその毒舌。そうは分かっていても、やっぱりお兄ちゃんは口が悪い。


「なんだよ」


少し不満げに見つめると、お兄ちゃんに頭をトンっとどつかれた。

雰囲気とは裏腹に優しい力なんだけど、


「いーたい!」


私は、いつものように、大袈裟に頭を抑え、後ろに数歩下がる。

すると、後ろにいたらしい誰かに、トンとぶつかった。


「もー…相変わらずだな、隼人は。
菜摘、大丈夫?」


ぶつかったのは、シュンくんで、優しく私の肩を支えた後、そんな兄から守るように私の頭にそっと触れた。


大して痛んでもいなかった頭がぶわっと熱を持ち、私は何も言えず固まった。


これまでと変わらない、はず。

こんな場面は高校時代からいくらでもあって、友達だって動揺しないくらいには見慣れた光景のはずなのに、

私は変にドキドキして、その手を避けるようにシュンくんから一歩離れた。


「…だ、大丈夫だよーあはは」


視線を彷徨わせながら口角を上げれば、シュンくんは優しく微笑む。