「あー、もう飽きた」
私、佐野美梨(さのみり)の目の前。
めんどくさそうな表情の男の子。
それが………久瀬颯真(くせそうま)。
新人メイドである私が使えている坊ちゃん。
──────彼は遊び人だ。
学校でも有名で、
女の子には誰かれ構わずキスをする男の子。
「……颯真様、そんなに嫌だったんですか?」
なんとなく尋ねたのが間違い。
「んー、嫌つーか、欲を出される方が無理」
「……それって、彼女、とかですか?」
興味本位で聞いてしまったのも間違い。
「そーそ、一回キスしたぐらいで、
『彼女にしてー』とか、調子ノリすぎなんだよ」
女の子の真似をしながらお口は悪い颯真様。