案内してくれた新にお礼を言い、雪は扉を閉める。一人部屋とは言え、ホテルの部屋はかなり広い。ぐるりと部屋を見回した後、雪は「よし!」と言い、ライブに行く準備を始めた。

着ている服を脱ぎ、シャワーを浴びる。シャワーを終えた後、ライブのために買った推しの色のワンピースを身に纏い、ヘアセットとメイクを丁寧にしていく。推しの誕生石が入ったアクセサリーも忘れず身につけ、鏡の前で何度もおかしくないかどうかチェックした。

「よし、完璧!早くライブ行かないとね!」

推しのライブグッズたちを手に、雪はホテルの部屋を出た。エレベーターでロビーに向かうと、たまたま新と会ってしまった。新は「これからお出掛けですか?」と訊ねる。

「はい。これから推しのライブなんです!」

「そうですか。楽しんで来てくださいね」

新は雪の着ている青いワンピースを見て、ニコリと笑った。雪は「ありがとうございます!」と笑顔を向け、ホテルを出て行く。