長嶺さんが『つらいのは俺の方なんだ』って言っていた意味をようやく理解できた気がした。
 不安なのも、怖いのも、私だけじゃなかったんだ。


「……なんて、嘘だ 「行きます」

「えっ?」


 私はハッキリと言う。


「福岡ついていきます」

「え!?」


 長嶺さんが体をバッと離して目を真ん丸くして真顔の私を見る。


「く、来るの!?福岡!?」

「はい」

「でも、理子ちゃんだって仕事が、」

「辞めます。向こうで探します」

「え……えー……」


 仕事が生きがいだったはずの自分がこんなこと言うなんて、自分でもびっくりしてる。
 でも、これ以外答えがないってぐらい、何の迷いもなくついていきたいって思ってる。
 仕事のことよりアユコが一人でちゃんと暮らしていけるかの方が心配だけど、まぁ何とかなるだろう。 今の彼氏に一緒に暮らしてもらって、再婚しちゃえばいいんだ。