……やばい

 嬉しくて、泣きそう。

 愛おしさが込み上げて、長嶺さんの手をギュッと握り返したその時、背中に麗華さんの叫び声がした。


「全っ然似合ってない!!」


 ……!


 足を止めようとした私を、長嶺さんが引っ張る。


「気にしなくていいよ。行こう」

「っ、は、はい」


 ドキン、ドキンと心臓が跳ねているのは、ときめいてるからじゃない。
 足元がぐらついたのは履き慣れないヒールのせいじゃない。


 『全然似合ってない』


 麗華さんから投げられた言葉に、私のなけなしの自信を殴られたからだった。