第5話
婚前同居を始めて一週間。
まじまじと“東雲泉月”という男の子の存在感を実感している。今までなんで、気にならなかったのか教えて欲しいくらいだ。
○学校の教室・お昼休み
教室にいる女の子数人が窓からグラウンドを見てキャッキャと声を上げている。
そのグラウンドでは、男子がサッカーをしていてその中には泉月もいる。
サッカーをしていて、泉月がゴールを決めると外でも教室内でも黄色いこえが響いた。すると、泉月は陽波の教室の方に目を向ける。その瞬間、お互いに目が合う。だが、陽波が【学校では極力距離を取りたい】と誓約書で書いたので、それを守り一瞬で目を逸らし少しだけ微笑んだ。
陽波のスマホが鳴り震える。スマホの画面を見ると泉月からのメッセージで、トーク画面には【今日はオムライス食べたいな】といったメッセージとクマのキャラクターが『おねがい』とお辞儀をしているスタンプが送られてきて陽波はクスッと笑ってしまった。
⚪︎場面変わり泉月の部屋のリビング・夕方
陽波はスーパーから戻ってきて、マンションに二十四時間いてくれるコンシェルジュさんに荷物を持ってきてもらって受け取る。それを冷蔵庫の中にしまうと、お米を洗いながら今日作る献立を立てる。
陽波「今日はオムライスに、あ、唐揚げでも作ろうかな」
泉月がリクエストしたオムライスは、ケチャップライスににんじんをすりおろして炊いたキャロットライスにケチャップなどで味付けをしたものに卵はメレンゲを作りふわふわな生地にして焼いたスフレ。ケチャップには、玉ねぎやパプリカなど野菜をふんだんに使っているソースをかける。泉月が嫌いなものがたくさんだが、すりおろしたりしているからか美味しいらしい。
騙しているみたいで少し申し訳ないが、食べてくれるからとても嬉しい。家族にしか振る舞ったことがなかった陽波は他人から褒め言葉は新鮮で嬉しくて鼻歌を歌う。
まずは、お肉に下味をつけて冷蔵庫に入れておく。その間に、ご飯で使う人参をすりおろしてオムライスのソースで使う野菜をみじん切りをしてフライパンで柔らかくなるまで炒める。それからトマト缶を入れてソースをコトコトと煮ている間に冷蔵庫に入っている味が付いたを鶏肉を衣をつけて揚げる。
陽波「うん……いい感じ。あとは、卵ね」
唐揚げが終わり、次は卵を卵白と卵黄に分けて卵白でメレンゲを作る。メレンゲが出来たら卵黄を落として優しく混ぜた。
それをフライパンにふわっと入れて焼いていく。焼いている間にソースを仕上げに取り掛かる。
泉月「……ただいまー……え、美味しそうな匂い! え、唐揚げとオムライス!」
陽波「お帰りなさい、泉月くん。泉月くんがリクエストしてくれたから張り切っちゃった」
泉月「疲れてるのに無理してない? お祝いでもないのにこんな量作ったら疲れるんじゃない?」
陽波「まぁ、そうだけど。料理は好きだし、いっぱい作ると明日のお弁当作るのが楽だから」
陽波は「明日は唐揚げ弁当だなぁ」と心の中で考えながら、お皿に盛りつけをする。それをテーブルに配膳した。
***
夕食を食べて食後のお茶を飲む二人。
泉月「ねぇ、陽波ちゃん。この土日は同居を始めて初めてのお休みじゃん。だからご飯も作ってくれてるお礼で何処か遊びに行かない?」
陽波「遊びに?」
泉月「うん。駅前に最近できた商業施設に行こうよ。服屋さんもあるし、レストランとかカフェとかも揃ってるって聞いたよ」
泉月はスマホを取り出して触ると陽波に画面を見せる。
そこには、商業施設の名前があって【NEW Open】と大きく見出しがあった。
陽波「これって、前に広告で出てたところですね。お店たくさん入ってるんですね……あ、ここ、インスタグラムで見ました。とても美味しそうだなぁって。あ、私、この雑貨屋さん行きたいです」
泉月「よかった、じゃあ、ここに行こっか」
陽波「はい! 楽しみです。泉月くんは、どこか行きたいところはないんですか?」
泉月「俺は陽波ちゃんが行きたい所に行きたいかな。俺もすごく楽しみにしてるね」
泉月が陽波に「ここも好きそう」と紹介してくれる中、陽波はドキドキしている。
だが、陽波は契約書の内容を思い出す。
【……お互いを慈しみ――】
陽波(これはもしかして、第一条の内容を実行してくれようとしているのかもしれない! 泉月くんは優しいなぁ。彼のやさしさに答えたい!)
そんなことを陽波が考えている中。泉月はというと――
泉月(このデートで距離を絶対縮めたい!)
お互いすれ違った考えを持ちながら、来たる初めてのデートを楽しみに胸を高鳴らせていた。
婚前同居を始めて一週間。
まじまじと“東雲泉月”という男の子の存在感を実感している。今までなんで、気にならなかったのか教えて欲しいくらいだ。
○学校の教室・お昼休み
教室にいる女の子数人が窓からグラウンドを見てキャッキャと声を上げている。
そのグラウンドでは、男子がサッカーをしていてその中には泉月もいる。
サッカーをしていて、泉月がゴールを決めると外でも教室内でも黄色いこえが響いた。すると、泉月は陽波の教室の方に目を向ける。その瞬間、お互いに目が合う。だが、陽波が【学校では極力距離を取りたい】と誓約書で書いたので、それを守り一瞬で目を逸らし少しだけ微笑んだ。
陽波のスマホが鳴り震える。スマホの画面を見ると泉月からのメッセージで、トーク画面には【今日はオムライス食べたいな】といったメッセージとクマのキャラクターが『おねがい』とお辞儀をしているスタンプが送られてきて陽波はクスッと笑ってしまった。
⚪︎場面変わり泉月の部屋のリビング・夕方
陽波はスーパーから戻ってきて、マンションに二十四時間いてくれるコンシェルジュさんに荷物を持ってきてもらって受け取る。それを冷蔵庫の中にしまうと、お米を洗いながら今日作る献立を立てる。
陽波「今日はオムライスに、あ、唐揚げでも作ろうかな」
泉月がリクエストしたオムライスは、ケチャップライスににんじんをすりおろして炊いたキャロットライスにケチャップなどで味付けをしたものに卵はメレンゲを作りふわふわな生地にして焼いたスフレ。ケチャップには、玉ねぎやパプリカなど野菜をふんだんに使っているソースをかける。泉月が嫌いなものがたくさんだが、すりおろしたりしているからか美味しいらしい。
騙しているみたいで少し申し訳ないが、食べてくれるからとても嬉しい。家族にしか振る舞ったことがなかった陽波は他人から褒め言葉は新鮮で嬉しくて鼻歌を歌う。
まずは、お肉に下味をつけて冷蔵庫に入れておく。その間に、ご飯で使う人参をすりおろしてオムライスのソースで使う野菜をみじん切りをしてフライパンで柔らかくなるまで炒める。それからトマト缶を入れてソースをコトコトと煮ている間に冷蔵庫に入っている味が付いたを鶏肉を衣をつけて揚げる。
陽波「うん……いい感じ。あとは、卵ね」
唐揚げが終わり、次は卵を卵白と卵黄に分けて卵白でメレンゲを作る。メレンゲが出来たら卵黄を落として優しく混ぜた。
それをフライパンにふわっと入れて焼いていく。焼いている間にソースを仕上げに取り掛かる。
泉月「……ただいまー……え、美味しそうな匂い! え、唐揚げとオムライス!」
陽波「お帰りなさい、泉月くん。泉月くんがリクエストしてくれたから張り切っちゃった」
泉月「疲れてるのに無理してない? お祝いでもないのにこんな量作ったら疲れるんじゃない?」
陽波「まぁ、そうだけど。料理は好きだし、いっぱい作ると明日のお弁当作るのが楽だから」
陽波は「明日は唐揚げ弁当だなぁ」と心の中で考えながら、お皿に盛りつけをする。それをテーブルに配膳した。
***
夕食を食べて食後のお茶を飲む二人。
泉月「ねぇ、陽波ちゃん。この土日は同居を始めて初めてのお休みじゃん。だからご飯も作ってくれてるお礼で何処か遊びに行かない?」
陽波「遊びに?」
泉月「うん。駅前に最近できた商業施設に行こうよ。服屋さんもあるし、レストランとかカフェとかも揃ってるって聞いたよ」
泉月はスマホを取り出して触ると陽波に画面を見せる。
そこには、商業施設の名前があって【NEW Open】と大きく見出しがあった。
陽波「これって、前に広告で出てたところですね。お店たくさん入ってるんですね……あ、ここ、インスタグラムで見ました。とても美味しそうだなぁって。あ、私、この雑貨屋さん行きたいです」
泉月「よかった、じゃあ、ここに行こっか」
陽波「はい! 楽しみです。泉月くんは、どこか行きたいところはないんですか?」
泉月「俺は陽波ちゃんが行きたい所に行きたいかな。俺もすごく楽しみにしてるね」
泉月が陽波に「ここも好きそう」と紹介してくれる中、陽波はドキドキしている。
だが、陽波は契約書の内容を思い出す。
【……お互いを慈しみ――】
陽波(これはもしかして、第一条の内容を実行してくれようとしているのかもしれない! 泉月くんは優しいなぁ。彼のやさしさに答えたい!)
そんなことを陽波が考えている中。泉月はというと――
泉月(このデートで距離を絶対縮めたい!)
お互いすれ違った考えを持ちながら、来たる初めてのデートを楽しみに胸を高鳴らせていた。