「この同窓会のために中澤くんが書いた手紙を読みます。」


学級会長だった子が、上着のポケットから、手紙を取り出し読み始めた。


『10年後の僕は生きてるかな。10年後の同窓会には行けるか分かりません。行けなかったときのためにこの手紙を書きました。ある人に伝えたいことがあります。中学2年のとき転校してきてからずっと好きな人がいました。でもなかなか声をかけられず卒業してしまいました。でも、卒業式の日、僕はその人のかばんのうしろのポケットに手紙を入れました。今でも気づいたか分かりません。もう実際に会うことはできないかもしれないけど本当に心から好きでした。それと、みんなといた日々は最高でした……』



最後は何も聞くことができなかった。


涙が溢れてとまらなかった。



もうこの世にいないと思うと目の前が真っ暗だった。



"あんなに好きだった人が…今この世にいないなんて…会うこともできないの…?"




今になってすごく後悔している。


10年前に戻って私の気持ちを伝えたいとも思った。



なぜなら手紙は私のかばんのうしろに入っていたから。


手紙に気づいた時には遅すぎた。



卒業式のとき、中澤くんがどんな思いで手紙を入れたのかは分からない…。



ちゃんと私の気持ちを伝えていれば、どうなっていただろう。



卒業式の日のあの悲しそうな笑顔は忘れない。


そして…


中澤くんは今でもアルバムの中で私に笑いかける。