生きてるんじゃない。私は「生かされてる」んだ。




11月。


何か羽織るものがないと肌寒くなる季節。

私はいつものように机にシャーペンを向ける。

「これじゃダメ…もっともっといいものを…」

この時期、高校生は何しをしているのだろう。

3年生は受験勉強?1、2年生は青春?

受験勉強でもない、青春をしているわけでもない私は




何をしているの?




部屋のドアからノック音が聞こえ母が入ってくる

「美雲?どう?書けてる?」

返事をしていないのになぜ入ってくるのか

「……大丈夫だよお母さん。順調順調。〆切には間に合うから…」

「そ、そう?ならいいけど…」

お願いだから…部屋から早く出ていって…

いつものように笑顔を貼り付け母を部屋から追い返す。

そんな薄情な私。藤崎美雲。高校2年。

華のJK…なんて言える生活すら送れてない

中学の時、興味本位で出してみた小説が大ヒット。

それから『最年少天才作家』と言うタグをつけられ人生を無駄にしている

こんなことになるんだったら書くんじゃなかった

いつもそう思ってる。

こんなの…ただのお遊びに過ぎないんだから…





「おはよ〜」

教室に着くといつものように声をかけてくれるツインテールの彼女。如月宵。

「美雲ちゃんっ!!今日も美人だね!!」

会って早々口説かれます

そっとカバンを机に置き、宵に向き直る

「宵も私と話すの飽きないね…。」

「もちろんだよ!!美雲ちゃんと話すの楽しいし!!」

無邪気な笑顔で笑う宵

いつも呼び出しを受けるほどモテる彼女は

こんな子がみんな好きなのか…と話の勉強になる程

「てかね?!聞いて聞いて!!」

手をパンっと叩いてクラス中の視線が宵に向く

「今度RED Dragonが抗争始めるんだってぇ!!」

「え…まじかよ…」

「やだな…迷惑だよ…ってか宵よくそんなこと知ってるね」

皆口々に不満をこぼす中1人の少女が宵に話しかける

…帰ってくる言葉はわかってる

「私のチームだからね!!」

私が宵をあまり良く思わない理由

それは彼女が人を蹴落とすから…そして平気で嘘をつくから…

悪女のお手本だよね