背の高いミカエルが少し腰を曲げて、アンの額に額をぶつけたまま甘い声で誘うので、アンは耳が燃え上がりそうだった。


足から力が抜けたらどうしてくれるんだとキッとミカエルを睨む。角度を間違えばキスしてしまう。


「あざと可愛いをわざと使いこなすの狡い!」

「ハハッ、バレてた?上手にできてるだろ?俺、お前を捕まえるためなら何でもやるから」

「強烈過ぎる」

「答えはイエスだな」


嬉しくて、恥ずかしくて、目に涙が溜まるのを抑えきれないアンを連れて、ミカエルは光の中に飛び込んでいく。


パーティ会場のど真ん中で光の全てをかき集め、祝福される王太子に踊らされて、アンは誰よりも美しく舞った。


王太子と傷物令嬢の許されざる甘美な恋物語を拝見したものたちは、ため息交じりに何度もこの光景を語り合った。