脳みそがコマ送りで、ミカエルの優しい笑みがワンシーンワンシーン記録されていく。脳に刻みつけられる。


「やっと俺に惚れたって認める気になったか?」

「ない、それはない」

「ハハッ、それは通常」


反射でツンツンするアンに愉快だと快活に笑うミカエルが手と手の指を絡める。


(ミカエルに惚れたら断罪なのに、あっという間にフラれて悪役令嬢に逆戻りになっちゃうのに。なにこれ止まんない)


熱い血脈にのって、アンの身体を恋の熱さが巡り狂う。


アンが猫目に涙を浮かべて、ミカエルを見上げた。大好きな女の潤んだ瞳の上目遣いをもらってミカエルの身体の隅々にも恋が巡る。


ミカエルがアンの細い指先に男の指先を絡めて、額と額をキスさせて懇願した。


アンには、命令より、おねだりだ。


「アン?俺と、踊ってください」