パーティ会場の時が動き出し、あたたかい音楽が流れ始め、ミカエルの声を拾った誰もが口を塞いで王太子いい男じゃん!の胸熱の叫びを飲み込んだ。


傷物令嬢への一途な愛を見せつけた俺様王太子に一気にファンがついた瞬間だ。


アンは耳が熱くて、下腹が熱くて、鼻の奥がツンと痛かった。胸が、震えた。


アンの口がぽつりと

本音を漏らしてしまう。


「……どうしよう、嬉しいって思っちゃった」


どんなに醜い姿でも、大好きだと言ってもらえた嬉しさが身体を隅から隅まで駆け巡って、アンに恋を知らせた。見て見ぬふりなんて、もうさせてくれなかった。


「そんな素直なのは、珍しくて狡いな」


意地悪な気持ちが一つもない柔らかさで、ミカエルがアンを見つめる。


「アンは綺麗で、可愛い」