温度のない声で王太子から無視しましたと報告されたリリアは身が凍った。

だが、これしきのことで折れるほど生半可な覚悟ではないのだ。


リリアが唇を噛んで顔を上げると、ミカエルが足を踏み出そうとする方向に何があるのかを見つけた。


「殿下、もしかして、あの傷物令嬢のところへ行かれるつもりで?」


リリアの声を受けて、ふふふとミカエルを取り囲んでいた令嬢たちから嘲笑が湧いた。

ミカエルはピタリと足を止めた。


「彼女はミカエル殿下の品を落とすことしか致しませんことよ?あの、お綺麗な傷物顔のおかげで」