まぁ、真夜中に関わらず澪奈が泣いたり、とうるさくしてしまった、というのは否定しないし、こっちが100悪いのだが…。

「あー…、すんませ​────え?」

ここは素直に謝っておこう、と頭を下げようとしたが、次の瞬間。言いかけた謝罪を止め、俺は硬直した。

しばらく会ってなかったから反応が遅れた。

そして後に続いて向こうも硬直する。

「え?」


数分後…

「引っ越した時、大家が2階の人受験生だからって言ってたけどお前だったのかよ…!」

「何よ!なんか文句ある!?あとから来た癖に…!」

「てかドンドン床叩くのやめろよ!!相変わらず気性がくっそ荒いな!」

「あんたがうっさいからでしょ!受験落ちたらあんたの責任だからね!」

2階の住人と初めて顔を合わせて判明した事実。それは…、‪2階に住んでいたのは、

”‬寺ヶ崎(てらがさき)ティアラ‪”‬だった、ってことだ。

ティアラは幼少期から同じ施設で育ってきた変わりモンのバカでアホでマヌケな野郎だ。俺より1つ年上だが、施設ではずっと‪”‬犬猿の仲‪”‬だった、といっても過言では無い。

「あー!今!あたしのこと!バカでアホでマヌケ、って思ったでしょ!?」

ビシっ、と指をさして、エスパーかのような一言を放つティアラ。的中だ。

「思ったよ!?悪いかよ!」

「むっかー!超ムカつく!」

ギュンギュンに上げられたまつ毛と真っ赤なリップ。分厚く塗られたファンデーション。ぐるぐる巻きの髪。はんてんの隙間から見えそうな胸元。

相変わらずだ。

「そのケバケバメイクまだ治ってなかったんだな!?」