澪奈の首を締め殺そうとしたあの日の感覚がまた手のひらに蘇る。

ドクンドクン、と伝わる血の流れ。温もり…。

それらを全て、俺の力で止めるんだ、って思ったら途端に怖くなった。

ただ、月影竜の一人娘だから、って理由で殺すってのは…、納得出来ないというかなんというか…。

「いや、当たり前です、って!てか!そもそもなんであんなかわい子ちゃんを殺そうと出来るんですか!!」

1度は殺しかけたことを話したら雨は顔を真っ赤にして怒った。

「はいはい!すいませんでしたー!でも俺だってどうしたらいいか分かんねぇんだよ…」

もう感情がごちゃごちゃで、頭を掻きむしりながら叫んだ。

俺が殺さなくても、きっと…、殺したい、と思う連中はうじゃうじゃいる。それこそ、‪

”‬月影竜に一人娘がいた‪”‬

という情報が出回れば、それは避けられないだろう。

あぁーもう!なんでこう、特殊な血を引いてんだ、あいつは…!!!

「それで、どうしてそんな大事な話を僕にしてくれたんですか?」

雨が冷静な口調で、俺を見つめる。

「だからそれは……」

もちろん考えなしにこんな大事な話を雨に喋った訳じゃない。頼みがあったのだ。

「もしさ」

「はい」