言うまでもなく、俺と澪奈を見て雨は目を見開いていた。しかし、雨の瞳にはだんだんと涙が溜まり始めた。

「僕は…っ、悲しいです!!朝から女とイチャコラサッサするのはいいですよ!?いいですけど!!でも……!勉強も頑張りましょうよ…っ、僕は柚季さんを心から尊敬し​────」

1人。何故か玄関先で暴走する雨。

しかし……数分後。

「あめぇー。一緒にトランプやろー」

「はい!やりましょう♡」

雨と澪奈はすっかり打ち解けたみたいだ。

「超かわいいですねぇ〜。なんですかこの子!」

雨は澪奈にすっかり心を掴まれたようでさっきまでの怒りはどこへ行ったのやら、同じテーブルを囲んで、ババ抜きに付き合ってあげている。

雨……お前、学校はいいのかよ。

なんて言葉がふと喉から出かかったが出すのはやめておいた。

***

ミイラ取りがミイラになる、とはまさにこのことで、結局雨はこの日、学校をサボった。

「へぇー、それで、澪奈ちゃんを柚季さんが殺さなきゃいけないんですか」

「あぁ、誰にも言うなよ?絶対に」

澪奈が遊び疲れ、昼寝している隙を見計らって俺は雨とベランダにいた。

手すりにもたれ掛かり、「分かってますって」という雨。