あいつ……!

反射的に走り、澪奈の手が地面に着く前に体をキャッチした。フワッ、と軽やかな重みが俺に乗っかる。

「…っ、あぶねぇ……。怪我してないか?」

膝とか擦りむいてたら大変だ、と思い、しゃがんで確認するが大丈夫そうだった。

「してない!ありがとっ!ゆずきだいすき!」

「はいはい。ありがとな」

自動的に俺がだっこせざるを得ないような姿勢でしがみついてきたからそのまま澪奈をだっこして立ち上がる。前からティアラが息を切らして走ってきていた。

「かわい子ちゃん!はぁはぁ……、怪我は無いかしら!」

一歩…いや、数歩反応が遅いんだよ…。

「おい、ティアラ。澪奈を勝手に連れ回すな」

「連れ回してなんかないわよ!西島のバカ野郎をこのあたしが!わざわざお出迎えしてあげた、ってのになによ!」

「頼んでねぇよ!」

「かわい子ちゃんに頼まれたのよ!」

「えっ……あ、そう、なのか」

「うんっ!ベランダで夕日見てたら、ティアラちゃんに会ったからゆずきのお出迎え行きたいな、って話したらここまで連れてきてくれたの!」

「そう、か…、」

心がぽわっ、と暖かい何かで埋め尽くされていく…。

「だめ……だった?」

いけないことしちゃったかも……としゅんとなる澪奈を前に胸が締め付けられる。

「そんなことない!……あ、ありがとな」