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理音…。

まずいことになったかもしれない。

覚束無い気持ちのまま、倉庫を後にして家に戻る。

今日はバイクの気分ではなかったから徒歩だ。

総長に呼び出しを食らった時から嫌な予感はうっすらとしていたのだ。

「〜…」

夕日が差し込む街路樹に差し掛かった辺りで何やら聞き覚えのある声が聞こえ、耳を澄ました。

「…、ゆずきーっ」

ん?

今度はハッキリと聞こえた俺の名前と、澪奈の声に目を細め、先の方を見る。

すると前から澪奈とティアラが手を繋いで仲良くこちらに歩いてきていた。

あ!勝手に外出るな、って言ったのに…!

とは思うがこれは見た感じティアラが連れ出したんだろう。

そんな気がして俺は前から歩いてくる澪奈に笑顔で手を振った。

結局ティアラが俺と澪奈の関係をどう思っているのかは知らないが、本人も、もうさほど興味は無いらしい。‪”‬かわい子ちゃん(澪奈)‪”‬に会えるだけで十分満足そうだ。

「ゆずきーっ!おかえりーっ」

ティアラの手を離した澪奈がタッタッタッ、と全速力でこっちに走ってくる。

……あーぁ。…ったく、かわいいな。

と、思った矢先だ。

「わっ…」

「あ、おい!」

澪奈が小石で足を躓いたようで体がグラン、と傾き前に転びそうになる。