「ねね。ゆずきー。抱いてー」

「はいはい、まただっこか?」

「違うー。えっち。」

「お前っ、そういうことをハッキリ口に出すな!」

喋れなかったり、
やたら丁寧な言葉使ったり
赤ちゃんみたいに幼稚っぽくになったり、

変化が著しいな、ほんとに。

なんの躊躇いも遠慮もなく、頬を擦り寄せスリスリしてくる澪奈の顔にかかった髪を軽く避ける。

クリアになった澪奈の丸々おめめで至近距離にじー、と見つめられるのは何回されても慣れない。可愛くて胸がはち切れそうだ。

「澪奈。クリスマスどっか遊び行くか?」

「行くっ!行くー!」

「どこ行こうな、あ、ここ行くか」

来月OPENした遊園地のチケットがちょうど目につくところにあった。

雨が前、商店街の福引で当てた、とかで「僕は行かないですからあげます」と置いていったものだ。

有効期限は12月いっぱいまでだし、ここなら澪奈が喜びそ​────

我ながらそこそこいい提案をしたんじゃないか、と思っていた頭がフリーズする。

そうだ。澪奈にとって遊園地、って…、確か…

‪”‬家族との思い出の場所‪”‬

あの日。夜の公園で澪奈が泣きながら話してくれた記憶の中に…遊園地という場所は澪奈にとってそういう位置づけにあるように感じた。