俺たちの騒ぎなどお構い無しの澪奈は手をグーにして、穏やかな顔で眠っていた。

ティアラが唖然としたように呟く。

「に…、西島のバカ野郎の家で…、かっ、かわい子ちゃんがスヤスヤ眠っている…」

なんだよその実況は…。

「ん…」

と、その時だ。
澪奈が起きたようで、目をパチッ、と開けて目の前にいるティアラを見つめた。

怖いだろうなぁ…。目が覚めてこんなケバケバメイクのオカマと目が合ったら…。

泣くかな、と一瞬心配になったが、意外と大丈夫なようだ。

「ゆずきの…、お友達…?」

トロン、とした目をティアラに向け、体を起こしながら首を傾げている。

「そうだよ!あたしは寺ヶ崎ティアラ!おはよう。かわい子ちゃん♡」

「ティアラちゃん…?」

「そう!」

「かわいい名前だねっ、すき!」

「んきゃーーー!ありがと〜ぉ!!」

「いや、本当の名は‪”‬山田太郎‪”‬だ」

「うっさいわねぇ!お黙り!」

寺ヶ崎ティアラは本人が勝手に名乗っている、源氏名的なもんなので口を挟み、本当の名を教えるが腹に1発パンチを食らってしまった。