「ふん！‪”‬西島のバカ野郎‪”‬には関係ないわ！」

プイッ、と甘い香水の匂いをチラつかせてそっぽを向いたティアラ。

ティアラは俺のことを‪”‬西島のバカ野郎‪”‬と独特のあだ名で呼ぶ。

声は低く、相変わらずわざと女声を出している。

そう。

ティアラは正真正銘の‪”‬男‪”‬。

すなわち‪”‬オカマ‪”‬だ。

俺が施設を出るより半年先に出て行ったティアラだったがこんな所で会うなんて。

神様はどうやら俺にイタズラがしたいらしい。

「はっ！ちょっと待って！？もしかしてあんた家に女連れ込んでない！？」

「は！？なんだよいきなり！」

「だってここ数日女の子の声聞こえてきたもん！」

やっべぇ…。こいつにあれこれバレると本当に面倒くさい。何としても隠したいところだが…

「あっ、おい！勝手に入るな！」

人の静止を聞かず、ズカズカと家の中に侵入してきたティアラ。

そしてとうとう、ただ今澪奈が絶賛昼寝中の部屋に足を踏み入れられてしまった。

ーースースー…。

ティアラはすぐさま眠っている澪奈に気付き、視界に入れる。