壁がなくなり、むき出しになった心に温かい想いが流れ込んでくる。その温もりは心に熱を灯し、強い力となって香夜を勇気づけた。

「柏! 何をしている!?」

 そのとき、少し離れた場所から燦人の声が響く。

「もう来てしまったか……。燦人様、邪魔をしないでいただきたい!」

 柏は両の掌に炎を灯らせ、片方は香夜達に、もう片方は燦人に向ける。

「嫌……駄目よ」

 燦人も、養母も、傷つけさせない。
 彼らを傷つける者は、誰であろうと許さない!
 香夜は立ち上がり、心の赴くままその力を放った。