「とはいえ私の言葉など燦人様は聞き入れないだろう。だから、こうするしかないのだ」
そう言葉にしながら、柏の姿が変化する。
篝火で赤みを帯びていた髪が更に赤く染まり、黒かった瞳が赤く光る。そして、額の髪の生え際辺りから、二本の角が生えてくる。
変転。
聞いたことはあるが、月鬼には失われたもののため初めて見た。
驚き動けずにいるうちに、柏はその手に先ほどよりも大きな火の玉を出現させる。
「すみませんね。死んでください」
謝罪の言葉を口にしているのに、欠片も悪いと思っていない様子で柏はその力を放った。
「っ!」
避けることも出来ず痛みを覚悟して目を閉じた香夜だったが、中々予想していた痛みは来ない。
熱は感じるが、何かに遮られているような感じだった。
そっと目を開けると、火の玉と香夜の間に一人の女性がいる。彼女は結界の盾を出し香夜を守ってくれていた。
(どうして……?)
「っく! やっとこの子が幸せになれそうだというのに、こんなこと許してなるものですか!」
そう叫んで火の玉を霧散させた彼女を香夜は驚きの表情で見つめる。
「……お養母様?」
呼びかけに振り向いたその人は確かに養母だった。
髪を振り乱し、急いで来たことが分かる。
そう言葉にしながら、柏の姿が変化する。
篝火で赤みを帯びていた髪が更に赤く染まり、黒かった瞳が赤く光る。そして、額の髪の生え際辺りから、二本の角が生えてくる。
変転。
聞いたことはあるが、月鬼には失われたもののため初めて見た。
驚き動けずにいるうちに、柏はその手に先ほどよりも大きな火の玉を出現させる。
「すみませんね。死んでください」
謝罪の言葉を口にしているのに、欠片も悪いと思っていない様子で柏はその力を放った。
「っ!」
避けることも出来ず痛みを覚悟して目を閉じた香夜だったが、中々予想していた痛みは来ない。
熱は感じるが、何かに遮られているような感じだった。
そっと目を開けると、火の玉と香夜の間に一人の女性がいる。彼女は結界の盾を出し香夜を守ってくれていた。
(どうして……?)
「っく! やっとこの子が幸せになれそうだというのに、こんなこと許してなるものですか!」
そう叫んで火の玉を霧散させた彼女を香夜は驚きの表情で見つめる。
「……お養母様?」
呼びかけに振り向いたその人は確かに養母だった。
髪を振り乱し、急いで来たことが分かる。