舞を披露する娘達。
 次から次へと切れることなく繰り返される舞を全て見ているわけにもいかず、変な期待をさせないためという意味も込めて、力の気配を感じ取った瞬間だけ確認のように視線をやった。

 黒髪の者から、徐々に色素の薄い茶髪の者へと変わっていく。
 それでも皆求めていた気配とはまるで違っていて……。
 周囲が期待を寄せているな、と思った娘ですら違った。
 だが、まさかその娘で最後とは思わなかった。

(見逃した? いや、そんなはずはない。では年齢が違っていた? だが父もそれくらいの年頃だと言っていたはずだ)

 自分よりもあのときの気配をはっきり感じとったであろう父が間違えるとは思えない。
 驚愕をあらわにしていると、鈴華が名乗りを上げた。
 跡取り娘ということで除外されていたはずの鈴華。こうしてそばにいて感じる気配も何となくではあるが違うと感じる。

 だが、本人がやる気満々であったのと万が一ということもあった。
 長に許可を取り、鈴華の舞も見ることとなる。
 鈴華の舞は彼女の自信満々な様子に見合って素晴らしいものだった。
 楽のない舞だというのに、その歩の音が、揺らめく薄茶の髪が、楽を奏でているかのように錯覚させた。