あはは、と笑って見せたけれど、内心は俺もビックリしていた。
まさか、本当に俺の勘が当たっていたなんて。
「櫂ってば、怖いよー」
そう言いながら美桜がおどけたように笑う。
「まあ、きっとたまたまだよ」
横にいた佑香がそう言うと、美桜は「たまたまじゃないとさすがに笑えない」なんて小さく笑いながら俺が持っていた残り2枚のチケットの内、1枚を抜き取った。
「ほら、映画と言えばポップコーンでしょ。予告が始まる前に買いに行こうよ」
眩しいくらいの笑顔を浮かべながら売店の方へと先に歩き出した美桜。
その瞬間、脳内でふと会話が再生された。
―――わたしね、映画館で流れる予告を観るも好きなんだ。
―――え、なんで?
―――スマホやテレビで観るのとでは当然聞こえ方も観え方も違う。それって映画館でしか味わえないから特別な気がしない?
―――まあ、俺は――と観る映画だったら何でも特別だけど。