なんの話をしているんだろうか。
美桜の笑い声が聞えてきて心の中がソワソワとして落ち着かない。
「ちょっと、櫂。聞いてる?」
「え?悪い。聞いてなかった」
そんな俺に呆れた表情を浮かべながら顔を覗き込んできた佑香。
ダメだ。
今日は何をしていてもきっと美桜に意識がいってしまう。
「しっかりしてよね」
小さくため息をついた佑香に苦笑いを返して、俺はスマホをポケットの中にしまった。
しばらく歩いて見えてきたのはこの街でも一番大きなショッピングモールだ。
このショッピングモールには映画館だけでなく、アパレルショップや数々の飲食店、ゲームセンター、クリニックなどが入っていてたくさんの人たちが利用している。
そして、学生の俺たちは何かして遊ぶとなれば、このショッピングモールに来るというほど充実した施設だ。
「映画館に行くならあっちの入口の方が近いんじゃない?」