「結局、何観るんだっけ」


映画館のあるショッピングモールまで歩き出した瞬間、佑香が俺の隣に来てそう言った。

そうなると、必然的に美桜は西神と並んで歩くことになり二人は俺たちの後ろをついて歩いているこの状況にガックリと肩を落とした。


これじゃあ、美桜と距離を縮めるどころか西神と美桜をくっ付ける感じになってるじゃないか。

でも、美桜の幸せを願うのであればこれが正解なんだろう。


ズキズキと胸の痛みを感じながらも俺は佑香に視線を向けた。


「お前、覚えてないのかよ。今日はこの映画を観るんだ」


映画の公式サイトが表示されている自分のスマホの画面を佑香に見せる。


今泣けると話題になっているラブストーリーらしい。


以前、美桜と動画サイトの話をしている時にこの映画の予告が履歴に残っているのがたまたま見えたから俺が3つ出した候補の中にこの映画を入れると彼女は予想通りこの映画を選んだ。