その不意の笑顔にドクンと鼓動が甘く跳ねた。
「思ったより早く着いちゃって。ていうか、美桜も早いだろ?」
今はまだ約束の時間よりかなり前。
俺が早すぎるのもあるけれど、美桜だって十二分すぎるくらい早い到着だ。
「う、うん。なんか緊張して早く来ちゃった」
なんて、照れくさそうに微笑む彼女。
服装だって淡いピンクのトップスに白のマーメイドスカートを合わせている。
とても似合っているし。可愛い。
ほら、さっき自分で予想していた通り俺は彼女の私服姿を見て惚れ直しているのだ。
「その服装、似合ってるよ」
素直に口に出したら引かれるかなとか考えたけれど、ちゃんと似合っていることを伝えたかった。
きっと美桜は俺に言われてもあんまり嬉しくないだろうけど。
西神に言われる方がドキドキしたりするんだろうか。
そこまで思って、胸が細い針で刺されたかのようにチクリと小さく痛んだから考えることをやめた。