誰が綴ったのかも、誰に向けられて綴られたのかすら知らないのに、ただ胸がぎゅっと締め付けられて苦しくて泣くことしかできなかったのだ。
何とか見つけ出した作者の彼女が綴っているものは恋愛系が多かったけれど、一体彼女が誰を思い浮かべてそれを綴っているのか気になった。
つまり、俺はきっともうその時点で美桜に恋に落ちていたんだと思う。
「叶わねえよなあ」
俺の虚しい呟きは部屋の中へと消えていく。
美桜には好きな人がいるらしい。
しかも、あんな計画まで立てて想う相手が。
西神だろうな……。
美桜が西神以外の男と仲良くしているところなんて見たことがないし。
はあ……片想い開始早々、失恋フラグ立ってんじゃん。
いや、でもまだ終わっていない。
俺は何も行動を起こせていないんだ。
失恋上等。
だけど、それは俺が美桜にアタックしてからの話。
「よし!頑張るしかねえ!」
「なにを頑張るって?」