今ここで諦めたら君はきっと後悔する。それだけは嫌なの。

自分が納得するまで追いかければいい。
歩き疲れたなら休めばいい。

だから、どうか今は諦めないで。


「ずっと不安だったんだ……あんなにでっかい夢を語ったくせに本当に自分に叶えられるのか自信がなかった。

でも、親と先生から無理だって言われて、ムカついて……俺、自分で思ってる以上に夢をこんなに大事にしてたんだなって気づいて……。

だから美桜の言葉聞いて、絶対に今諦めたらいつまでも後悔すると思うから諦めたくないって思った……っ。やれるところまで頑張りたい……っ!」


いくつもの涙が彼の乾いた頬を濡らす。
その表情は先程とは打って変わり、迷いの吹っ切れた清々しい表情をしていた。

もう大丈夫。なんとなくそう感じた。


「その気持ち、ちゃんとみんなに伝えな。きっとわかってくれるから」


櫂のご両親は優しいから彼の本気の気持ちを理解して応援してくれると思う。

彼の底なしの優しさはきっとご両親譲りだから。


「うん……っ!ありがとな、美桜」


屈託のない笑顔を向けられ「どういたしまして」とわたしの笑みを返した。


「まあー!たくさん努力して頑張って、それでもダメだったら神様なんてぶん殴ってやろうよ」