そう言いながら何だか恥ずかしくなってきて後ろに体重をかけ、乾いた地面にごろんと寝転んだ。

目の前にどこまでも青く澄んだ空とペンキで雑に塗られたような雲が広がっている。

櫂の未来だって、この空みたいに無限に広がっているのに。
その可能性を捨てないでほしい、と身勝手だけど思ってしまう。

人間、好きな何かを諦めるのってすごく勇気のいることだ。

それは夢だけじゃなくて人だってそう。

たとえば人を好きになって、どんなに想っても報われなくて、傷つけられて、周りからやめといたほうがいいよとか、もっといい人がいるって言われたって簡単に諦めることなんて無理なんだ。


だって、好きになっちゃったから。

わたしは大丈夫ってどこかで信じていて心の中で淡い期待を抱いて。

たとえ、それで傷つけられたとしても好きだという不思議なフィルターがかかっているから自分にはこの人しかいないって思っちゃうものなんだよ。

誰かに言われて、それくらいで諦められるのならもうとっくに諦めている。


数々の夢を抱いてすぐに諦めたわたしのように。