きっとご両親も大切な息子の将来を心配しての言葉なんだと思う。

でも、彼にとっては一番応援してほしい人に認めてもらえなかった苦しみがあるのかもしれない。

わたしは悔しそうに唇を噛みしめて、視線を落とす彼に何というのが正解なのかわからなかった。


すると、彼は続けて「情けねえよな」と自嘲気味に笑った。

今の自分に一体何ができるというのだろう。

一丁前に君の夢への背中を押すと決めていたはずなのに、いざそれを目の前にすると、なんて声を掛けていいのかさっぱりわからない。

わたしには夢なんてキラキラした眩しいものは持っていないから。


「悪い。こんな暗い話して」


今にも泣きそうな顔で、苦しみが滲んだ笑顔を向けられる。

そんな顔がみたかったわけじゃない。
わたしは君にずっとお日様のような笑顔でいてほしいんだよ。

わたしには夢はないけれど、諦めきれないものはある。

昔からわたしは人に流されやすい性格でこれになりたい、といくつかの夢を抱いても全て周りの人の【それはしんどいよ】【大変だよ】などという言葉を信じて、それならいいやとすんなり諦めて生きてきた。