西神と佑香ちゃんも誘って、櫂と佑香ちゃんの距離を縮める作戦を立てていたのにわたしは自分の誘惑に負けたのだ。

好きな人から二人で会いたいと言われたら、どうしても断れなかった。

わたしは全てにおいて中途半端だな、と反省する。

屋上の古びた扉を開けると、ギィと軋む音が耳に届く。
今ではすっかり聞き慣れた音だ。


「はあ~~~やっぱりここはいいなあ」


ここは風を全身で感じることができる。

九月の生ぬるい風がわたしの頬をそっと撫でた。

順番的に櫂はまだ先生とは話してないかな。

出席番号が結構後ろだもんなぁ。
そういえば、西神はこの面談をどう乗り切るつもりなんだろう。

わたしと一緒かな。
なんて、考えながら乾いた地面にゆっくりと腰を下ろした。

サボってるのがバレたら怒られそうだけど、たまにはいいよね。

そっと、目を閉じた。


もう十七歳か。あっという間だったな。

ついこの間までランドセルを背負っていたような気がするのにもうセーラー服も脱いで今ではブレザーは着て、高校生活を送っているなんて時の流れの速さに驚いてしまう。