そんなに考えないと出てこないなんてちょっとショックだな。
でも、まだ出会って数ヶ月だから仕方がないかと自分で自分を励ます。
一分ほど黙っていた美桜がゆるりとこちらに視線を向けた。
宝石のように澄んだ綺麗な瞳と目が合う。
それだけで俺の鼓動はうるさく高鳴り始め、体温が上昇していく。
「櫂の好きなところは、何事にも一生懸命でいつも真っ直ぐなところかな」
照れくさそうにはにかみながら、恥ずかしいのか唇を噛みしめる彼女。
そんな彼女の姿にも俺の心はしっかりと射止められていた。
優しいところ、とか短い言葉で終わらせないところが美桜らしいな、とどうしてだかそんなことを思った。
「……なんか言ってよ」
余韻に浸って何も言えずにいた俺の肩をコツンとつついた。
「いや、嬉しすぎて言葉が出なかった」
俺まで照れてきて、口元を掌で隠す。
ダメだ。今の俺はきっと顔が真っ赤だろう。
今が夜で本当によかった。
「なにそれ。そろそろ帰ろっか」
おかしそうに笑うと、ゆっくりと立ち上がった美桜につられるように俺も「そうだな」と返し、立ち上がった。